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ドゥカティには要素はそろっている。足りないのは組み合わせの最適化。

ドゥカティの立て直しのためにBMWスーパーバイクチームでの実績をひっさげてアウディから送り込まれた新チームマネジャー、ベルンハルト・ゴブマイヤーへのマイケル・スコット氏によるインタビューです。
GPweek誌より。
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BMWでの成功の要因はなんだとお考えですか?
 BMWには良い人材もいたんですが、最大の問題は船頭が多すぎたことでしたね。ですからチームを混乱させるような間違った情報や口出しを遮断することから始めたんです。
 そしてもちろん技術的なこともたくさんやりましたしメランドリを獲得もしました。これはライダーサイドからの適切な情報を得るためなんです。それには彼が適任でしたから。
 こういうことは一つ二つの問題を解決すれば良いというものではありません。いくつもの要素が複雑に絡み合っているものなんです。

ドゥカティでも状況は同じように見えますね。
 全く同じというわけではありませんが、似たような状況がいくつもあります。妻にドゥカティでの仕事について話したら、「それって2年前も聞いたわ」と言われちゃいました。でもBMWとドゥカティでの問題が一対一で対応しているわけではありません。
 ドゥカティの技術レベルがすごく高いのは強みですね、ですから要素はそろっていると考えています。後はそれぞれが適切な連関の中で動けるようにするだけです。

技術的な面とマネジメント的な面のどちらが大切なんですか?
 私自身、それを意識して分けて考えたことはあまりないですね。私のバックグラウンドは技術者ですが、自分の限界もわかっていますし、何をすべきかを決めるのは私ではないと思ってます。もっといい専門家がたくさんいますから。でも正しい質問はするようにしてますね。それに対する最初の答えをうのみにしないようにもしてます。

デスモセディチについてまずすべきことはなんでしょうか?それとその次にやるべきとお考えのことも教えて下さい。
 もう実際に見て頂けたと思いますが重量配分と重心を最適化したのは良い効果をもたらしてくれました。ここでは言えないいろんなこともまだ控えています。
 でもバイクのあらゆる部分に手を着けています。ですから去年までとは全然違いますよ。ああ、新型フレームも必要ですね。それさえあれば何でも解決ですが、それは簡単な話じゃない。
 バイクの挙動を良くするにはすべてのパーツが同時にうまく働くことなんです。
 今のところエンジンのピークパワーについては言うことがないですが、だからといって他の回転域でうまいこといっているわけではありません。同じことがフレームやブレーキ、電子制御にも言えます。問題はそれだけではありません。その組み合わせ方も最適化されていないんです。

1月の時点では「進化はするけど革命はしない」とおっしゃってましたが、今でもそうですか?
 進化をどの範囲ととらえるかにもよりますね。でも進化という言葉は大事です。すべてを入れ替えるわけではありませんから。それぞれの要素がぴったり組み合わさるように合わせ部分を研ぐんです。少なくとも今年はね。来年は他のチームと一緒に新型電子制御に対応しなければいけません。もうそれへの対応は始まっていて、ソフトウェアの再設計をしているところです。
 エンジンも来年に向けて開発を進めています。来年はエンジン開発が凍結されますからね。ですから今より最適化されたエンジンにしないといけないんです。
 フレームについては大きな設計変更はしないつもりです。
 ですから革命ではないと言っているんです。カーボンファイバーとかマグネシウムとか混合素材とか、まあそういうのはなしですね。

コンパクトな一体成形の狭角V型エンジンみたいなことはアウディ/フォルクスワーゲングループとして考えられたりはしないんですか?
 それはありませんね。ヘッド一体型のV型エンジンは4輪用の考え方ですよ。馬力や冷却をそれほど考えなくても良いんで、その分もの凄くコンパクトになってFF車向きだってことなんです。レース用としては考えられないですね。
 誰かが何か思いつくかもしれませんがバイクレースはドゥカティの中だけのことなんで、こういう形でいくことになると思います。

フォルクスワーゲン/アウディがドゥカティから学べることはなんでしょう?
 それこそ今まさに彼らが考えていることですね。デスモドロミックバルブシステムというのはフリクション軽減と燃費の面から優れているんです。それと4輪メーカーとは違う電子制御のノウハウももっています。あとは軽量化ですかね。4輪部門とは既にカーボンファイバーやアルミについて情報交換をしているんです。
 こちらから有益な情報を提供することもあれば、そうしたものを向こうからもらうこともあります。これからまだまだ可能性を探っていかなければなりません。もちろん現時点ではバイクの設計と開発に時間をかけなければならない状況ですから、お互いから何を得られるかというのはサイドビジネス的に模索していくことになると思います。
 アウディには例えばラピッド・プロトタイピングの技術があります。2週間前にもあるネタで会合をもったんですが非常にいい感じですね。ドゥカティには手の届かなかった技術とか、そもそもそんな可能性が存在しているなんて思ってもみなかった技術があるんです。
 ですから近い将来、技術の共有のために人材交流もすることになると思いますよ。

デスモドロミックにはこだわりがありますか?回転数制限のあるMotoGPではアドバンテージがなくなったように思えるのですが。
 デスモは全く問題なく稼働しているシステムですし、ドゥカティの特徴なんです。もちろんニューマチックバルブも問題は無いですけど、ドゥカティらしくないシステムですし、そもそも同じ機能というか、ことによったら機能が劣るシステムに新たな投資をする理由がありません。

今年の目標はなんですか?スポンサーを満足させなくてはいけないと思うんですが。
 スポンサーとは全く関係なく、私たちの目標はドゥカティがそもそももっている素質を改善していくことです。今シーズンの終わりには表彰台争いをしたいですね。
 現実的にはダニとホルヘには届かないでしょう。ドゥカティがどうこうというより、彼ら2人が速いんです。でもセカンドグループには追いつきたいですね。
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なんか前半はマネジメントの教科書に載りそうな話ですね。

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