« ライダーコメント拾い読み | トップページ | ちょっと疲れてるみたいで »

ティーンエイジの女の子を狙え!

という記事がmotomatters.comに載ってます。衰退する一方の日本のバイクレース界の参考になるやならずや。とりあえず訳出。
============

MotoGPは既にその魔術を失いつつある。2013年シーズンについて言えば興味の対象は2つしかない。今後2〜3年でルールがどう変わっていくか、そしてロッシはいつかはリタイアすることになるのだが、それが崩壊の序曲とならないかということである。

しかしこの2つの疑問は大した問題ではない。今後5年、10年、15年とGPは続いていくのは確かだ。ヒーローがいて、敵役がいて、そして「昔はこうじゃなかった」と嘆く中年男どもがいつもいる。こんなバイクじゃだめだとか、ケニー・ロバーツを見ているべきだったとか常に嘆いているのだ。そして同時に「彼のようなレーサーは二度と現れないだろう」と言われるレーサーが常に出てくる。そうやって世界は変わっていくのだ。

昨シーズン、面白いレースはMoto3とMoto2だというのが普通になっていた。ハードなファイト、エキサイティングで、若いライダーが表彰台に立って栄光に酔う。シャンパンがまかれ(若すぎてシャンパン無しのこともあるが)、記者会見が行われ、レポーターが記事を書く。マスコミはこぞって空港に押しかけ、ライダーの何気ない言葉に群がった。

でも彼らは大事なことを忘れている。日曜の夜にインターネットを賑わせているのは誰か。おしゃべり、コメント、ゴシップ、勝者に対する暖かい賞賛、敗者に対する惜しみない拍手。これまで全く気にされることもなく無視されてきたMotoGPのファン層。

それはティーンエイジの少女たちである。

そうだ、ティーンエイジの少女たち。MotoGPの行くところ、どこにでも現れる彼女たちはレースファンであり情熱があり、そして何より大事なことに知識も豊富なのだ。ソーシャルメディア時代の今日、自分の意見を公にするのは簡単なことだ。そしてティーンエイジの少女たちは今Moto3とMoto2に熱狂している。そこらへんにいる女の子の話をしてるのではない。たくさんの情報を得て勉強している生粋のレースファンのことである。彼女らはGPについてのブログを書いている。その内容はプラクティスのタイムからレース結果などと同時に髪型が変わったとか、ライダーの半生とか、果てはガールフレンドがいるとかいないとかまで多岐に渡っているのだ。

スーパースポーツの売り上げが落ち、バイク乗りの平均年齢が上がっている今日、レースを見るだけではなくそれに身を捧げている彼女たちに対して何故誰も語りかけようとしないのだろう。

世界中にはそういう少女が何千人といるのだ。最近まで彼女らはロッシの、ロレンソの、ストーナー(今年からはいなくなるが)のファンかアンチかという大まかな分類の中に入れられてしまっていた。しかしこの2年ほどで彼女らはわずかな動きを見せている。しかしこれは重要な動きなのだ。

2011年のMoto2、2012年のMoto3の導入がそのきっかけである。毎週、勇気があり、見目麗しく、評判が良く、笑顔が素敵で、ありえないほどたくましい若いライダーがテレビの画面で、そしてfacebookで輝きを放つのだ。

ティーンエイジの少女たちはこれにぞっこんになったのだ。

彼女たちより2歳ほど年上の少年に卒倒するというのはいかにもありそうなことだ。太古の昔から彼女らは熱狂し、没頭し、そして何より大事なことにはお金を使ってくれた。その対象はボーイズバンドとそのグッズである。

音楽プロデューサーやポップ界のフィクサーは昔からこのお金の元とうまくやる術を身に付けていた。人間としてはティーンエイジの少女たちは他の社会経済階層と同様に個人個人はばらばらの特性を持っているが2つの点で共通していることがある。ティーンエイジのアイドルに捧げる忠誠心と非合理的な金遣いの2点である。

レコード会社にとって彼女らは金を生み続けてくれる牛である。ボーイズバンドにアーティスト性があるかのごとく見せかけ、メンバーが固定しているなど過去の話としてしまった昨今、会社は一定期間ごとに新たな碧眼の少年を市場に投入し、それにファンがとびつき、そしてニューアルバムを買ってくれる。

Moto3そしてMoto2はことによったらある意味究極のボーイズバンドかもしれない。彼らは口パクでごまかすことは絶対しない。なんといってもバイクレースをしているのだ。速く、生身の戦いをし、世界中を転戦する。今日のティーンエイジの少女たちのメディアリテラシーはあなどれない。自分たちの見ているものがみせかけの商品ならすぐに見破ることができるのだ。そして同時に彼女らは本当の筋肉をつけた本当のスピードで真の勝利を得、時には真の敗戦にまみれ、そして転倒すれば本当に体が傷つく10代の少年たちに眼を向ける可能性があるのだ。

ティーンエイジの少女たちが大好きなのはこういうことなのである。

ファンになるような少女たちは賢いのだ。そして新世紀の平均的な少女と比べて自由であり、勉強しており、比較的ハイレベルの生活をしている。他の世代より賢く、リッチで、力を持っているのだ。力を持っているが故に自分たちが力を持っているとも思わない(もし例えるならジャーメイン・グリアのようだ)。大人になれば彼女たちは仕事を持ち、実家を離れ、週末は出かけ、車を買い、大人であることを享受するだろう。十分な可処分所得と共にだ。

MotoGPは天国から降りてきた一生つきあえる楽しみである。16歳のMoto3ライダーを見出して、彼女たちをそのライダーについていかせることができれば、ライダーは大人になるに従って賢くなってレースを続けることができる。彼についてきた少女たちは15年にわたって彼の名前がついた商品を買い、ファンで居続けてくれるのだ。

毎年新たなライダーがパドックにやってくる。Moto3だったり、レッドブル・ルーキーズカップだったりEJCだったりはするが。見目麗しくフレンドリーで才能がありたくましい若者。これは世界中に売り出すことのできる資質である。そして毎年新たなティーンエイジの少女たちが少年たちを見初めるのだ。

ヒーローがいて敵役がいて、ずる賢いライダーがいて、あまり速くはないがキュートなライダーがいる。面白いライダーがいて、考え深いライダーがいて、深みのあるライダーがいて、馬鹿げたヘアスタイルのライダーがいて、魅力的ななまりのあるライダーがいて、罵りを気にもせず知名度を上げることなど気にしないライダーがいる。ジュニアクラスはこうしたライダーでいっぱいだ。

もう2013年なのだ。MotoGPも収益元がテレビとチケットだけではないことに気付いてもいいだろう。そしてチケットの売り上げだけがバイクレース業界の現状を表すわけでないことも気付くべきだ。今日のファンは、特に若い世代は分別があり要求も高い。テレビを見るだけでは満足せず、現場に来て興奮を共有したいと考えている。

今日のティーンエイジのファンはソーシャルメディアに詳しいのではない。彼らがソーシャルメディアそのものなのだ。携帯やfacebookやツイッターがない世界など考えられない。生まれた時からそれがあったのだから。彼らは情報を欲している。それもいますぐに。それ以上に情報へのアクセスを望んでいる。Tシャツを、懸賞を、写真を、ウェブキャストを、ビデオチャットを、インターネットでのQ&Aを望み、そしてそれを友人とシェアしたがっているのだ。それがファンであるティーンエイジの少女たちである。彼女たちは臭い付きのレースで使用済み靴下にだって入札するだろう。10代のアイドルと共にあり、彼のためにお金を使いたいのだ。

MotoGPもそれにのっかるのが得策だろう。世界的に景気が悪くなっているのをさておいても、GPは自分をごまかし続けていると言わざるを得ない。何十年にもわたってタバコマネーから金を引き出し続けてきた。それが法律で禁止された後はエナジードリンクがいいタイミングでそれになりかわり魔法の杖となってくれた。MotoGPが財政的真実に直面するのを防いでくれたと言ってもいいだろう。

チームはレース資金を集めるのに苦労していると言う。それは間違いないだろう。スポンサーを探してはいるが、スポンサーとしてはGPサーカスが訪れる国での広告効果を必要としているのだ。これがスポンサーをみつけるのに苦労する原因だ。チームを含めたMotoGP界がスポンサーに提供できるビジネスモデルを見つけられていないのだ。それまではそんな必要はなかった。そもそもそんな能力は持っていなかったとも言える。

MotoGP界はシャイで垢抜けないツンツンヘアの若者の市場価値について考えたことも無かった。適切な人材によってなされる正しいブランディングと正しいプロモーションとソーシャルメディアの活用で、そうした若者やそのチームメイトやその後に続く若者が金を生み出すようになる。GPサーカスが行く国でティーンエイジの少女がいない国はないのだ。彼女らは最高の資源である。毎年1歳ずつ年をとっていくが、そこに新たな少女たちが加わっていくからだ。

GPに参戦する若者は彼女たちを捕まえ一生ファンでいてもらうためのきっかけとなる。今レッドブル・ルーキーズカップに参戦している若者が引退するのは15年先である。ティーンエイジの少女たちは中年になり、そして彼女たちの娘が美々しい革ツナギに身を包み悪魔に魂を売り渡したような走りを見せる若い少年に夢中になる。ファンは世代を引き継いで存在するのだ。

いま現在、既に娘とGPを見ている母親というものは存在する。Moto2やMoto3のアイドルに夢中になる少女がいるからといって、他の少女がランディ・ドゥ・ピュニエのスムーズなライディングスタイルに興味を持って彼のMotoGPの乗り方だけに詳しくなるだろうと思うのは早計である。

これに対してケニー・ロバーツのファンは怒るだろうがほっておけばよい。彼らは過去の人間であり、古くさいレーシングブルゾンとともに生きればいいのだ。

世界中で何百万もの人がGPを見ている。そのほとんどはニューマチックバルブやらECUやらカーボンディスクには興味がない。デスモセディチのV型が何度であるべきかについての意見など持ってはいない。30ラップを男たちが懸命に走り、勝利し、池に飛び込むのを見たいだけなのだ。そしてそれを見て一緒に喜びたいのだ。

MotoGPの基本は一部スポーツであり一部エンターテイメントであり、そしてすべてはビジネスである。ビジネスであるからにはお金を産まなければならない。そしてお金は現時点ではスポンサーからしか出てこないものとなっている。

スポンサーのメリットを考えてみよう。惰性でスポンサーになっていたり、経営陣の見栄でスポンサーになっていたりというのではなく、純粋に商業的な意味合いでスポンサーになっている企業はどれくらいいるだろうか。

Moto3やMoto2のスポンサーですぐ思い浮かぶところはあるだろうか。

2011年、ケルセノレーシングにパリス・ヒルトンを全面に押し出したSuperMartxé VIPがスポンサーとなったことでMotoGP界が浮かれたことがあった。このことに対して嘲笑するものもいたが、それは間違っている。SuperMartxéはクラブナイト、香水、アクセサリー、リアリティショーで世界的なブランドとなっている。世界的に成功していることは間違いない。その対象は誰か?若者である。選択の自由とお金を持っている携帯時代の子どもたちである。彼らは魅力的でドキドキするようなものが好きなのだ。しかしSuperMartxéはたった1年でMotoGPから去ってしまった。

誰かSuperMartxéを引き留めようとしたものはいるのだろうか。何故GPから離れるのか確かめたものはいるのだろうか。そしてクライアントとして以外にどうやってメリットを与えられるか尋ねたものはいるだろうか。それともそんな質問は神様に禁じられているのだろうか。

MotoGPはチャンスを生かすにはちょっと浮世離れしすぎていたのだろう。GPは多くの国を巡り、そこでの賢いマーケティングとクロスブランディングでもって若者を市場とする冠スポンサーとチームにメリットを与えてきたのだ。騒音と共に楽しい時を過ごす若者たち。パーティーに行くような子たちがレースファンとなっていることを忘れてはいけない。

MotoGPは世界中の若者に提供する商品としては相当魅力的であり、見るものに感動を与えることができるものである。高度な科学がなくてもそれはわかるだろう。

ヴァレンティーノ・ロッシを時を越えて冷凍保存しようとしたりケニー・ロバーツのクローンを作ろうとしている場合ではない。若いレーサーを同年代の若者にアピールすべきなのだ。彼らの笑顔は何物にも代え難く、そして眼は光り輝いている。エッジの立ったバッドボーイ(アンドレア・イアンノーネかな?)がいればティーン向け映画並の素敵なストーリーが作れるだろう。

彼らにクールなウィニングラップのパフォーマンスをさせるといい。人工池を造り、必要ならそこに飛び込むことを義務にするといい。

ティーンエイジの少女たちはそういうことが好きなのだ。

ナンセンスだって?じゃあちょっとした算数を試してみよう。

2008年に「発掘」されたジャスティン・ビーバーは3300万人のフォロアーがツイッターにいる。去年の1000万人増しである。1億ドル以上の価値があると見積もられていて、彼のファンであるティーンエイジの少女たちは年間50ドルを彼の関連商品に費やしている。そしてジャスティン・ビーバーは18歳なのである。

昨年「発掘」された16歳のロマーノ・フェナティには明るい未来が拓けている。ツイッターでは15,000人のフォロアーがいる。世界チャンピオンのサンドロ・コルテセはあなたのお母さんに気に入られるタイプの若者である。そして23,000人のフォロアーをもっている。

若いライダーに恋してしまうティーンエイジの少女が世界中に10,000人いて、それが30ドルをライダー関連商品に使うと考えてみよう。全予算はまかなえないが素晴らしいカレックスのフレームは手に入れられるのだ。

誰か早くポップ界のフィクサーに電話を!
============
一人3000円で10000人いればってのは示唆に富む指摘だとは思いますが、そこここにほの見える少女を馬鹿にしたような物言いが気にならないでもない。

ちなみに「ポップ界のフィクサー」は原文では「Pop Svengali」。往時の小室哲哉や今で言えばジャニー喜多川や秋元康ってところでしょうか。でもそういうところにプロデュースを頼んでうまくいった試しはないんだよなあ。いずれにせよ、グローバル展開をすればファンは10000人くらい集まるってことですね。
日本のレースシーンではどうティーンエイジを呼び寄せるべきなんでしょうか。難しい宿題。

|

« ライダーコメント拾い読み | トップページ | ちょっと疲れてるみたいで »

コメント

面白い話でした。
確かに、若い女の子の潜在的な市場力
ってのは、一度火がついたら凄いです
からねぇ。

日本は・・・
motoGP放映の間のCMに、当のホンダとかが
家族向けワンボックスやら、おっさんが
乗ったCB1000とかのCMやってるようじゃ・・・(苦笑)

とかいいつつ、私も「古臭いレーシング
ブルゾンと生きていけばいい人間」かな(笑)

投稿: KEI | 2013/02/10 14:11

>KEIさん
 そもそもGPの観戦平均年齢が年に1歳ずつ上がっていくような現状ではねえ。
 レースのプロモーション自体を別方向に向けなければいけないんでしょうね。

投稿: とみなが | 2013/02/10 17:57

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/69409/56731267

この記事へのトラックバック一覧です: ティーンエイジの女の子を狙え!:

« ライダーコメント拾い読み | トップページ | ちょっと疲れてるみたいで »