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なぜストーナーは引退を決意したのか

CRASH.netにインタビューの様子が掲載されているので、翻訳します。
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今年いっぱいでMotoGPを引退するというショッキングな声明を発表した後、ケイシー・ストーナーは26歳という若さで引退を決意した理由について補足を行った。

彼は2006年以降、誰よりも多い35勝を上げており、2007年にはドゥカティで、2011年にはホンダでチャンピオンを獲得している。

しかしストーナーはこの数年受け続けていた批判やMotoGPがCRTに象徴されるようにコストカットに走っているという状況のせいで、徐々に情熱が失われていったと語っている。

「ずいぶん長いことGPを見てきていましたから、何がうまくいって何がうまくいかないかはすぐにわかりますよ。GPに身を置くことは大きな夢でしたし、それは実現できました。でもそれと同時にいろんなことが見えてきたんです。

 誰が僕を貶めようとしているのか、誰が僕の実力を信じてくれないのか、それにGPにどんな変化が起きようとしているのかってことがです。

(乳糖不耐症に悩まされた)2009年は転機でしたね。今でもあれは謎の病気だってみんな言いますけど、要するに僕が乳糖不耐症だってことを理解してくれていないってことなんです。僕に対する非難になっている。

 僕の乳糖不耐症は特殊なんです。エネルギーが吸い取られてしまって、栄養が吸収できないんです。誰もそんな話は聞いてくれませんけれども。

 2009年には他にもきっかけがあったんです。GPの進む方向についてなんですが、2009年にはじめて何が大切かわかったんです。家族と幸せが大事だって。お金がすべてではないんです。

 僕みたいに、楽しめなくなったからやめたと言われるライダーは少ないでしょう。チャンピオンシップに対する情熱が徐々に失われていったんです。

 メディアの皆さんも厳しかったですよ。批判もいっぱいうけました。特に最近すごいですね。そういうのが気持ちを沈ませるのに誰も気付いていないんです。
 
 レースがつまらないだとか、あれがつまらないとか、これがつまらないとか。何年か前だって、同じくらい接戦のレースとそうでないレースがあったのに。いま目の前にあるもので楽しみたいだけなんでしょうね。

 このプレスルームにいる皆さんに気付いて欲しいんですけど、皆さんが楽しんでいたGPってのはなくなってしまったんです。そりゃあ目の前ですごいレースが見られればいいですけど、ワークスマシンが減ってしまったいま、またそういうレースが見られるってのは相当先のことでしょう。

 ランディ(プレスカンファレンスに同席していたドゥ・ピュニエ)みたいないいライダーが乗って、12位とかじゃなく、もっと前で争えるクオリティの高いマシンがもっと必要なんです。でも彼らはワークスマシンに少しでも近づけるバイクには乗れないんです。

 今年のGPは、はっきりと2つに分かれてしまいました。CRTでトップになったマシンがレースや予選の後にパルクフェルメにやってくる。つまり分けちゃってるってことですよね。でも2つの規格のレースをやってるわけじゃない。これはMotoGP世界選手権で、プロトタイプの選手権なんですよ。

 過去を振り返って、GPだってスタンダードなマシンで始まってプロトタイプに進化してきたって言うこともできますけど、これじゃあ先祖返りしてるだけです。最初からやりなおすっていうより、過去に遡っちゃってるじゃないですか。

 僕が愛していたのはこんなGPじゃないんです。こんな中でレースをやりたかったわけじゃない。僕と争っているライダーについてはお互いに尊敬しあってますけども。

 でもそれ以外の人たちは、GPで働くみんなやチームの仕事や、毎週このショウを実現するためにトラックで働く人たちのことを全然尊敬してくれていない。それは簡単なことではないですけど。

 他にもたくさんいろんな理由があります。でも基本的には僕の情熱が消えていって楽しめなくなったことが主な理由です。もちろん今シーズンは楽しもうと思ってますけど、これ以上続けていくのは自分を裏切ることになるんです。ホンダやチームのみんなにとって、僕が110%の力を出せないのに続けていくのは間違ったことだと思うんです。」

ストーナーは付け加えて、娘の誕生は主な理由でないと言っている。

「娘が生まれたことは全然関係ないですよ。まあちょっとは背中を押すことにはなりましたが。でも引退を決意したことには関係ないですね」

同様に、昨年12月のV8スーパーカーのテストも、オーストラリア選手権を戦うことに興味は示したものの、引退には関係ないと言う。

「V8の4輪をテストしましたけど、この3〜4年間やってみたかったことが実現したというだけですよ。将来的にはすごく興味はありますけどね。
 
 僕が速く走れるかどうかは別問題です。すぐにV8に乗るつもりもないですし。人生の中でやりたいことがたくさんあって、正直に言うとレースで走るつもりもないし、5〜10年はバイクに乗りたいとも思いませんね。

 バイクのことは大好きですよ。僕の人生そのものだし。でもずっと乗り続けていたらバイクへの情熱を完全に失ってしまって、10年くらいバイクに近づきたくもなくなるのが怖いんです」

はっきりした声で感情を高ぶらせることもなくストーナーは語り続けた。しかしこれほど若くして引退するのは溢れる才能の無駄遣いになるのではと尋ねられたときに、初めて感情をあらわにした。

「そんなことはないですよ。むしろレースを続けていくのは人生の無駄遣いだと思うんです。楽しむことができなくてもレースができるのはわかっていますし、同じ結果を出し続けることもできるでしょう。競争本能が情熱を越えてしまうでしょうから。

 でも、それは自分に嘘をつくことに・・・、どう説明したらわかってもらえるかな。いい結果を残して、それでもこんなに早く引退するのが僕だけだってことかもしれませんけど、同時に僕はいつも正直でいようとしたのはメディアの皆さんもご存じの通りです。

(ストーナーが引退を否定した)ポルトガルででもそうでした。誰にもうそはついていない。情報だけが一人歩きしたんです。誰がどうやって流したのかはわからないですけど、その時点では決心していなかったんです。だからあの時点では噂は間違いだった。本当に引退を決意したのは先週なんです。

 ここにいるライダーなら誰でも同じでしょう。情熱がなくなったら引退するってことです。でもそれが本当だと言えないライダーもたくさんいると思います。いろんなことが彼らを引き留めるんです。お金かもしれないし、名声かもしれないし。情熱もなくなって楽しむこともできないままレースを続けているライダーたちも見てきました」

ストーナーは2006年にLCRホンダでMotoGPにデビューし、ポールポジションと表彰台を獲得した後、2007年にドゥカティに移籍した。その年にデスモセディチでドゥカティ唯一のチャンピオンを獲得している。しかしそれが彼の才能であったと賞賛されたのは、彼のチームメイトがことごとくひどい苦労をした後であった。

ドゥカティ在籍時から既にストーナーはフロントからの転倒に悩まされ、それでも2008〜2010年に13レースで勝利を飾っている。しかも2009年には乳糖不耐症に苦しめられているのだ。

2011年にはレプソルホンダに移籍し、その年にタイトルを獲得。そして2012年もヤマハのホルヘ・ロレンソを従えポイントリーダーとなっている。そして去年ストーナーに代わりドゥカティに移籍した7度のタイトルを誇るヴァレンティーノ・ロッシは未だに一度の表彰台を獲得したのみだ。

「今後についてはまだ語れることはありません。気持ちが続くならGPとは何らかの関わりを持って、若いライダーのサポートとかするかもしれません。でも現段階では何とも言えませんね。

 すばらしい結果を残すことはできたと思います。良いレースもあったし、2007年にチャンピオンという夢を実現した後も楽しむことができました。

 チャンピオンになるのが夢で、もっと若かった頃、何度もチャンピオンを獲りたいと思ったりもしました。でもGPの中に身を置いてみると、現実は夢とは違いましたね。

 それでも僕はがんばりつづけたんです。ドゥカティに乗っているときにはすごく非難されましたけど。クラッシュする度に批判を受けていた。そういう批判も引退を決意した理由のひとつですね。

 もう思い残すことはありません。この短い期間でこれまで成し遂げてきたことには満足しているんです。レースに勝ったことや、いいバトルができたこと、成功も失敗も、何もかも素晴らしい思い出です。後悔はしていませんよ」

ストーナーは4歳の時にダートトラックを始め、地元のチャンピオンを獲りまくった後、家族とともに14歳でイギリスに移住しロードレースを始めた。

参戦初年度の2000年にイギリスでチャンピオンとなり、2002年、16歳のときに250ccクラスでGPデビューを飾った。250で5勝、125で2勝を上げた後、MotoGPに参戦を開始しパワフルなマシンが彼のスタイルに合っていることを証明したのだ。

ストーナーのライディングが次に見られるのは第4戦フランスGPの予選が始まる金曜日である。
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疲れちゃったのね・・・。

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