« ポルトガルGPはいつもの店です | トップページ | ロッシはアゴスチーニの記録を破ることができるのか? »

MotoGP回転数制限は2014年以降に

コスト制限に一番効果的と言われているMotoGPクラスの回転数制限導入ですが、ヘレスにおける議論の結果、導入は2014年以降まで見送られました。やや長文ですがMotomatters.comより。
============
ヘレスで展開されたドルナとメーカー間のはったり争いの結果MotoGPクラスの今後のルールに関して少しは歩み寄りが見られたようだ。伝えられたところによるとドルナは回転数制限についてMSMA(モータースポーツメーカー協会:訳注:ホンダ、ヤマハ、ドゥカティのワークスの協会)に譲歩し、一方ワークスは1台体勢案を真剣に検討することになったという。今年の半ばには合意に達する見込みである。

2011年の終わりにMSMAだけがルールを決定できるという状況が崩れて以来ドルナは優位に立っており、カルメロ・エスペレータCEOはワークスに改革を迫るようになった。丸め込みと恫喝と約束を振りかざした彼のやり方のおかげで将来がだんだん固まってきている。MotoGPは800cc時代の純粋な技術的トライの場からコスト制限のあるエンターテイメントに変化しつつあると言えよう。

回転数制限の導入についてはワークスも完全に拒否しているわけではない。エスペレータが導入を1年先延ばしにした今ではなおさらである。制限導入は当初エスペレータが目論んでいた2013年から2014年以降に見送られた。ドルナのテクニカルチーフであるコラード・チェッキネッリとレースディレクターのマイク・ウェッブを含む技術アドバイスチームの提言に従い、エスペレータは14,500回転を上限と考えているが、ワークスが主張するのであれば15,000回転までは譲歩するつもりのようだ。我々の情報源によれば、ワークスとしては1000ccにするための開発費用が掛かっている現在のエンジンを2年間は使いたいとのことで、それ以降は喜んで回転数制限を受け入れるだろうということだ。また、ワークスとしては新型エンジンの導入に18か月はほしいらしい。800ccから1000ccへの変化に比べれば課題は少ないものの、エンジン特性はかなり変わるだろうからである。2014年にMotoGPへの復帰を目論んでいるスズキについて言えば、回転数制限はより復帰のハードルを下げることになるだろう。

2015年にはさらなる変化がMotoGPを待っている。少なくともCRTについては統一ECU(電子制御ユニット)が導入される見込みだからだ。ただしドルナの一部では、ワークスを含むすべてのマシンに統一ECUを導入したいらしい。現時点ではアプリリアとの間で統一ECUについての議論が進められている。アプリリアはかつてヤマハTZやスズキRGシリーズがそうだったように、RSV4をベースとしたARTシリーズをプロダクションレーサーとして供給している。CRTをWSBK開発に使いたいBMWも喜んで統一ECUを受け入れるだろう。BMW S1000RRの最大の弱点が電子制御だからだ。プロトタイプマシンも含めた統一ECUについても検討はされているが、これは現時点ではワークスにとっては「遠すぎる橋」と言えよう。ただし最高回転数の低いエンジンならば電子制御が簡単になることから、統一ECUもワークスにとって考慮すべき選択肢に入ってくるかもしれない。

2013年には他にも変化がある。まだ正式な回答は出ていないが、100万ユーロでプロトタイプをリースするというドルナの提案に対して、ワークスチームはMotoGPにも1台体勢を導入するのであれば受け入れ可能だと示唆しているのだ。ライダー1人に対して2台ではなく1台分のマシンとパーツを供給するのはワークスにとってもコスト削減につながり、100万ユーロも可能だと考えているのである。これによりCRTの台数が減ることはないだろう。ルール上は各ファクトリーは2名のワークスライダーと2名のサテライトライダーを走らせなければならないと明記されるだろうからだ。ホンダ、ヤマハ、ドゥカティの3メーカーだけがプロトタイプを走らせており、来年も新たなプロトタイプマシンが参加することは見込めない状況では、来年もプロトタイプは12台ということになるだろう。

Moto2のチャンピオン候補であるマルク・マルケスは2013年にはMotoGPに昇格することを狙っているが、MotoGP参戦初年度はワークスチームを禁じるという、いわゆるルーキールールが来年も適用されるかは疑問である。しかしIRTA(国際レーシングチーム協会:訳注:GP参戦チームの協会)はこのルールを維持するよう強く求めている。IRTAの会長であるテック3のエルヴェ・ポンシャラルはヘレスでMotomatters.comに対してこう語っているのだ。「このルールはプライベートチームにはいいルールですね。ですからなくならないように求めていきたいと思っています。ライダーにとってもいいルールだと思いますよ。最初はプライベートチームに入って、あまりプレッシャーのかからないところでMotoGPクラスのレースを学べるんですから。もしホンダがマルケスをサポートしたかったらグレシーニのところかLCRに入れればいいんですよ」
とは言え、ここにレプソルがからんでくると話は少しややこしくなる。スペインの巨大なオイルメーカーであるレプソル(訳注:ドルナもスペイン企業で、マルケスはレプソルのスポンサードを受けるスペイン人)はルーキールールを撤廃するよう求めているのだ。これによりドルナのスタンスが変わる可能性がある。ポンシャラルはMotomatters.comに対して、エスペレータは今のところルールを変えるつもりはないと言ったと語ってはいるが。

回転数制限によりエンジン特性が穏やかになり乗りやすくはなるだろうが、一方で電子制御への依存を減らすには燃料制限を緩やかにする必要もあるだろう。ファクトリーはこれ以上の燃料制限に反対しているが、2014年の回転数制限に向けてエンジンの設計をやり直すなら、燃料制限の緩和の良い機会となるだろう。CRTの24リットル制限でさえ、アプリリアは苦労しているのだ。つまり燃料制限の緩和はCRTにとっても助かる話なのである。
============
ルールの話はさておき、そっか、来年はマルケスが上がってくるのか。ってことは誰がどうなるんだ、とか思ってます。

|

« ポルトガルGPはいつもの店です | トップページ | ロッシはアゴスチーニの記録を破ることができるのか? »

コメント

文脈的にも過去の経緯的にも、メーカーが反対してるのは燃料制限の緩和ではないですか?

また、最高回転数が低くなると制御が簡単に云々のくだりは、電子制御が簡単になる、ではなく、
電子制御無しでの制御(要するにライダーによる制御)が簡単になると言う意味でしょう。
まあこの辺りは単なる一般論で、MotoGPマシンにも当てはまるかどうかは不明ですけどね。

個人的には統一ECUなんてワークスのコスト削減にはならず、ワークスとプライベーターとの差が
埋まるものでもないと思っています。
紳士協定でワークスは電子制御周りの開発やめようね、の方がまだマシではないかと。

投稿: nobody | 2012/05/03 21:23

>nobodyさん
 うーん、メーカーとしては燃料制限が緩和されれば楽になるんじゃないかと思いますけども、どうなんでしょうか。

 まあ、紳士協定ってのも生き馬の目を抜くレース界ではどこまで成立するか微妙ですね。統一ECUがコスト削減にどうつながるのかは、私もよくわからないですけども。

投稿: とみなが | 2012/05/03 22:07

正確には緩和も厳しくもして欲しくない、そんなにホイホイとレギュレーションを
変えないで欲しい、て意見だったと思います。
緩和されると楽になるのは確かでしょうけど、それは他メーカーも同じなので、
結局緩和された分の燃料を限界まで有効活用するために、今の燃料量に
最適化していた部分のやり直しが発生するわけです。
だからこそ、もし回転数制限が導入されたらどうせ大きな仕様変更が
発生するんだから、そのタイミングに向けての燃料規制緩和ならメーカーも
納得してくれるんじゃないか?とEmmettさんは言ってるんだと思います。

> どこまで成立するか微妙ですね。
まあ統一ECUよりはマシではないか?と言うだけですので…

投稿: nobody | 2012/05/04 00:12

>nobodyさん
 確かにここんとこルールがころころ変わりすぎてますもんねえ。まあコスト削減っつーより、参加台数を増やすためでしょうから、これでBMWとかアプリリアが本格参戦してくれればいいんでしょうけども。

投稿: とみなが | 2012/05/04 12:46

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/69409/54613476

この記事へのトラックバック一覧です: MotoGP回転数制限は2014年以降に:

« ポルトガルGPはいつもの店です | トップページ | ロッシはアゴスチーニの記録を破ることができるのか? »