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Faster 監督インタビュー その2

FASTER監督 マーク・ニールにインタビューその2でございます。
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Q.事故にも出会っていますが・・・。
A.実は、撮影をはじめてから何ヶ月かはギャリー・マッコイへのインタビューを躊躇するようになった。だって僕らのせいで彼が事故にあっているように見えたからね。記録をみるとわかるけど、2001年のカタルニアから撮影を開始することになってたら、その1か月前に手首を骨折したし、僕らが数か月後撮影を休んだら彼は復帰するしね。それに2002年のプレシーズンテストでは最速集団の一人だったのに、撮影準備を開始したら、転倒で骨折したり。しかも僕らの撮影がすすむにつれて、足の状態は悪くなって、撮影が終了したら完治したんだよ。で、2003年は怪我知らずさ。僕らが撮影してなかったからね。おまけに2003年の12月にアンドラでインタビューをしようとしたら(これが「FASTER2」の最初の撮影だ)、なんと腕をつってるんだ。スーパーモタードで転倒して骨折したんだって。

最悪だったのは、日本GPの予選の時に、僕らが放送席でジュリアン・ライダーとトビー・ムーディを撮っていたら、ギャリーが転倒したんだ。転倒している彼を見て、トビーが「動いてないぞ」と声を上げた。彼が運ばれていくのをみるのはすごくつらかったよ。カメラを置いて泣いていたかったくらいだ。でもマッコイは自分で担架からおりて、足を引きずりながらピットに戻っていったんで、何分か後には、彼がぴんぴんしてメカニックと話しているのを撮影できたんだけどね。

そういうときは平成ではいられないね。いつ何時、不幸にみまわれるかわかりゃしない。冷たい風の吹くコースにライダーが横たわっているのを見る恐怖ってのはスピードの快感にいつもついて回るものなんだよ。

Q.映画の中ではいろいろな人が出てきますね
A.だいたい70人くらいにインタビューしたかな。そのうち20人くらいは1回では終わらなかったし。インタビューは結局700ページ分くらいになった。

ライダーだけでなく、さまざまな種類の人が様々な仕事をしているこの独立国を映像にしたかったんだ。お医者さん、写真家、メカニック、トランポの運転手、ガールフレンド、親戚縁者、ヘルメットの技術屋さん、コース整備の人、ファン、ほんとにいろんあ生活があって、その中でいろんな国の言葉が話されている。それなのに、たいていはみんな仲良くやっていて、これってすごいことだと思うよ。

Q.ドクター・コスタという素晴らしい人物も撮っていますね
A.何年も前から名前だけは聞いていただんだ。ドクター・コスタは、パドックではもう神話の域の人だ。それだけじゃなくて、ほんとうにいい人だよ。彼についてはいろいろな意見があって、チームによってはライダーを近づけないところもあるし、逆にロッシなんかは、ドクター・コスタのことを医者というより魔術師かなにかの不思議な力を持った人だと見ているしね。

ドクター・コスタに、子供はいるか、って訊いたときのことだ。彼はそのときクリニカ・モビーレにいたライダーたち(この時は幸いそれほどひどい怪我ではなかった)を指さして「彼らが僕の子供たちだよ」って言ったんだ。確かに偉大な父親であることは間違いない。理想の父親と言ってもいいだろう。無謀な挑戦をしようとしているときに励ましてくれて、失敗したときには慰めてくれる。ドクター・コスタのことをどう評価しようとも、MotoGPに彼がいなかったら、今とは全然違うことになっていたことは間違いない。医師というだけでなく、ある意味MotoGPの精神的指導者でもあるんだ。モーターサイクルレースというのは、死に完全と立ち向かうスポーツだし、ライダーが死と戦おうというときに、ドクター・コスタほど頼りになる人はいないんだからね。

Q.ジャーナリストのことも撮影してますが、世界中に何百人もいるなかから、どうやって選んだんですか?
A.どんな仕事をしているか僕が知っていて、しかもその仕事を気に入っている人を追いかけてみたんだ。僕はマイケル・スコットとジュリアン・ライダーを読んで育ったんで、まずはジュリアンを追いかけることにした。そしたら自動的に、あのトビー・ムーディにたどり着いた。大事なのは、彼らの話がとてもおもしろくて、さらにレースに情熱を持っているってことだ。この映画ではマスコミ人というよりグランプリワールドの一員として描いているけどね。

Q.この映画をとるときに、特に大変だったことは何ですか?
A.時間不足だ。軍隊並みの効率で撮影に関わるあらゆる要素を計画しておかなければいけないんだ。だって準備ができていないからって、待ってくれる人は誰もないからね。あとは騒音かな。ばかでかい音がずーっと鳴り続けているんで、まともに頭が働かないんだ。それと天気だね。死ぬほど暑いか、凍えるほど寒いか、そうじゃなきゃ雨だ。そうそう時差ぼけもだね。たいてい1カ所に2、3日しかいないし、それぞれの撮影場所はとんでもなく離れてるときてる。つまり僕らはMotoGPの住人と同じように世界中を回っていたってことなんだ。2週間くらいで国と国を渡り歩く騒音に満ちあふれた小さな村に彼らは暮らしているんだ。おかげでストーリーに一貫性をもたせたり、何を撮りたいかについて強い気持ちを持ち続けるのが大変だったよ。僕らは、いわば統制のとれた混乱ってやつとずっと一緒に行動していたからね。

Q.特に助けになった人はいますか?
A.パドックではみんなが助けてくれたよ。すごいことだよね。でもMotoGP関係者以外にも、撮影後にすごくお世話になった人もいる。その一人がユアン・マクレガーさ。最初から彼にナレーションをやってほしかったんだ。正真正銘のバイク好きだってことは知っていたし、きっとこの映画が気に入ってくれると思っていた。でも、ユアン・マクレガーにこの映画のナレーションをやってもらおうって考えることと、実際にどうやってアプローチするかってのは全然別の話だ。彼のエージェントやらマネージャーやらは、彼らの大スターが汚らしくて危険なバイクに近づくなんて考えたくもないんだよ。だからユアンに近づくには、そういう人種を避けて通らなきゃいけない。何ヶ月も失敗を繰り返した後、最終的に彼の友達の友達って人と知り合えて、やっとアラバマでビッグ・フィッシュを撮影中のユアンに映画のラフカットを観てもらえることになったんだ。2003年の2月のことだ。その何ヶ月も前から、ドルナにも他のいろんな人にも「ナレーターはユアン・マクレガーにする予定だ」って言ってたんで、思惑通りにいかなかったらどうしようって、すごく心配になった。とは言え、だらだら悩んでいてもしょうがない。FedExでビデオを送ったよ。翌日うちに帰ってみたら、2、3杯ひっかけた後のヴァレンティーノ・ロッシみたいな甲高い声のメッセージが留守電に入っていた。「マーク、映画を観たぜ。すげえいいじゃん。気に入った。最速の・・・」で、そこで声がまともになって、「マーク、ユアン・マクレガーです。すごく気に入りました。是非ナレーションをやらせてください」。1週間後にはアラバマ州バーミンガムのブートウェルスタジオで録音をしてたよ。その1か月後に映画は完成したんだ。大スターのナレーション付きでね。
それだけじゃない。ユアンは、「猟人日記」のプロモーションのためにやってきたカンヌ映画祭で、わざわざ時間を作って目抜き通りをMotoGPの連中(ロッシに、マッコイに、カピロッシにホプキンスにエドワーズにジャックにホフマン!)がGPマシンで走るのに併走してくれたんだ。僕らはハリウッドのお偉方が何事かと目をむいている中、高級ホテルの前を信じられないくらいの音をたててタイヤスモークをあげて見せた。マスコミは大喜びさ。カンヌでこんな派手な宣伝スタントは見たことないってね。
ユアンはお金のためじゃなく、この映画とバイクへの愛のためにやってくれたんだと思う。「FASTER」がどれくらいヒットするかはわからないけど、ユアンが参加してくれたことは成功への鍵には違いない。それ以上に彼が参加してくれたことはびっくりするようなことだしね。MotoGPの中に入り込むことができて、ユアンは本当に楽しそうだったし、彼のおかげで「FASTER」とMotoGPに関わる誰もが幸せな思いをしたんだ。ありがとうよ、相棒。

Q.どんなメディアを使ったんですか?
A.16mmフィルムに、ハイビジョン、DVカム、スーパー8と、いろんなものを使ったよ。僕らが撮った分だけで200時間くらいになるかな。さらにバルセロナで行った別の編集作業で、ドルナ貸してくれた何十本ものテープの中から6時間分くらいを選んでいる。

Q.それほどのフィルムを使って編集するのはたいへんだったでしょう。
A.ロサンゼルスの編集スタジオで週に6日間、6か月ぶっ続けで編集したんだ。しかも1日10時間作業でね。作業にかかった最初の頃は、編集のロシェル・フォードはモーターサイクルレースのことを何にも知らなかったけど、いまじゃあすっかりハードコアなファンになっているよ。編集作業はみんなでやったんだけど、おもしろいことに意見が分かれることはなかったね。

Q.インタビューした相手からはこの映画に対して何か感想はありましたか?
A.ケニー・ロバーツ(キングの方ね)に2003年のイギリスGPで会ったら、こう言っていた。「あんたがクソ映画を作ったって聴いたけど、観てみたらそんなに悪くなかったよ」ってね。他の人はもっと褒めてくれたよ。

Q.ドルナは何て言ってます?
A.実は「FASTER2」を作ることになっているんだ。だからきっと気に入ってくれたんだと思うよ。

Q.最後の質問ですが、あなたは何にお乗りになってるんですか?
A.乗れるものなら何でも。せっかく映画を撮ったんだから、誰かが「MotoGPマシンに乗ってみないか」って言ってくれるんじゃないかと待ってるんだけど、まだそういう話はないねえ。LAで乗っているのはBMW1150GSだ。素晴らしいオールラウンダーだし、峠でもびっくりするくらい速いんだ。レプリカに乗ってるライダーに恥をかかせるにはもってこいだね。

実は80年代の初め頃にロンドンでバイク便をやっていたことがあって、そのときはシティ(ロンドンの金融街)からヒースロー空港までおんぼろのホンダCX500で25分を切ったという社内記録を持っていたよ。でも息子にはバイク便をやるくらいならレーサーになってほしいね。よく死ななかったと本当に思うよ。
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事故の話やらドクター・コスタの話は、大治郎のこともあるんで、冷静には読めませんね。

いずれにしても、レース好きが撮ったレース映画、みなさん是非!
GPファンじゃなくてもユアン・マクレガーのファンの方、是非!

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